【感想】殺人鬼フジコの衝動 真梨幸子

書評

こんにちは,ゆうです。
真梨幸子さんの「私が失敗した理由は」を読んでこわ〜と思ったものの
時間が経つとぞわぞわ読みたくなってきて。。笑
次は「殺人鬼フジコの衝動」を読みました。

ちなみに「私が失敗した理由は」の感想はこちら

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感想(2件)

あらすじとか概要とか

一番初めに言っておきますが,この作品はグロいです。
イヤミスとか真梨幸子とかで検索すると上位に出やすい作品なので
おそらく代表作といえる作品なのではないでしょうか。

4人家族のうち,父母妹が殺害される一家惨殺事件のたった一人の生き残りであるフジコ
彼女が叔母に引き取られてからの壮絶な人生を描いています。

フジコの家庭環境は決していいとは言えません。
金銭感覚のおかしい両親のもと,子供達の衣類や食費,小学校の給食費などももらえず
学校では汚いなどといじめられます。
しかし母親は自分の美容には狂ったようにお金をかけて整形をし,
友人知人との食事ではお金をばらまくように奢る,そんな生活を送っています。

そんな中,フジコは両親に反発せず,妹の面倒をみる良い姉であるように思えます。

そんなある日,フジコは学校をサボっているところをいじめっ子に遭遇してしまい,
暴行されているところをなんとか踏切の向こう側へ逃げ出します。
結果,追いかけて踏切に進入したいじめっ子が死んでしまうのです。
これがフジコの最初の殺人といえるかもしれません。

その後,家に帰ると母親父親妹が殺されている。
一家惨殺事件の生き残りとなってしまうのです。

そして叔母に引き取られ,転校。
そこからは女の子グループのいざこざ,友達と彼氏の三角関係
普通の女性として生きていく上で,巻き込まれるトラブルにおいて,
殺人→バラバラにして死体隠蔽を繰り返すという手法で生きていきます。

そしてフジコ自身も母親のように子供の存在よりも整形などにのめり込みます。
ラストはフジコの子供がいじめっ子に踏切で追われるシーン。
フジコの場合はいじめっ子が死んでしまうのですが,
フジコの子供の場合はいじめっ子も無事である意味「赦し」といえるラストとなっています。

ただし,イヤミス女王・真梨幸子がこんな最後に赦しを得るスッキリな展開では終わらないのです。

あとがきに,この殺人鬼フジコを生み出す一家惨殺事件のきっかけの真相が描かれます。
殺人鬼フジコは生まれるべくして生まれたのか。。

感想とか

この作品を読んで思い出したのが
「江東マンション神隠し事件」
もしグロいのが得意で知りたい方がいれば,普通に検索すればwikipediaが出てきます。
私はグロいのが好きではないのでリンクしません。。笑

思い通りにならないことを殺人で片付けるフジコの怖さ。
でも裏にはフジコはそう選択しないと生きていけないという風に追い込まれた状況があるのです。

人間誰しも被害者意識はあるし,自分の思う通りにならないことに苛立ちもある。
普通の人間なら殺人はしなくても,ついイラっとした気持ちを隠せずに態度に出してしまったり。
そしてイラっとしていることを伝えないと直さない鈍感ちゃんも世の中にはいます。
(伝えたところで直らないので,伝えずに我慢することが一番良いのかもしれませんが。)
彼氏を親友に寝取られて平気な人も少ないと思います。

そんな人間の普通の感情は理解できるものの,全てを殺人で解決するのは理解に苦しむところがあります。
しかし,ラストのあとがきでは仕組まれたというか,また別の人間の思惑があり,人間のイヤな部分がよく描かれた作品だな〜と思いました。

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感想(2件)

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