【感想】危険なヴィーナス 東野圭吾

書評

最近は東野圭吾ブームが来ていて,ずっとガリレオシリーズを読んでいたのですが,

新たに危険なヴィーナスを読みました。

ので,簡単にあらすじの紹介と感想を。

あらすじ

独身獣医の伯朗のもとに,かかってきた一本の電話ー「初めまして,お義兄様っ」。弟の明人と最近,結婚したというその女性・楓は,明人が失踪したといい,伯朗に手助けを頼む。原因は明人が相続するはずの莫大な遺産なのか。調査を手伝う伯朗は,次第に楓に惹かれていくが。恋も謎もスリリングな絶品ミステリー。

危険なヴィーナス 東野圭吾

登場人物

主人公とその家族

手島伯朗…この物語の主人公。独身の獣医。池田動物病院で働いている。矢神康治と養子縁組はしていないため,手島姓を名乗っている。楓に頼まれ,明人の失踪に関する調査の中で徐々に楓に惹かれていく。

手島(矢神)禎子…伯朗と明人の母。一清を看取ったのち,矢神康治と再婚。その後明人が生まれる。実家のお風呂で溺死。

手島一清…伯朗の父。脳腫瘍のため伯朗が子供の頃に亡くなっている。職業は画家。脳腫瘍の治療の過程で,後天的にサヴァン症候群になり,才能溢れる絵を残す。しかし,死後その絵の行方が分からなくなっている。

矢神明人…伯朗の弟。アメリカで仕事をしていたが,父(矢神康治)が危篤の連絡を受けて帰国する。しかしその後,疾走し行方不明になる。

矢神楓…矢神明人の妻。疾走した明人を探すために伯朗に連絡をとる。

伯朗と明人の母親(禎子)側の親族

兼岩憲三…順子の夫。数学教授。

兼岩順子…禎子の妹。

明人の父親(矢神康治)側の親族

矢神康之介…康治,波恵,祥子,牧雄の父。脳の研究を行っていた。

矢神康治…明人の父。脳の研究を行なっていた。その過程で手島一清・禎子夫妻に知り合う。

矢神波恵…康治の妹。

支倉祥子…康治,波恵の妹。

支倉隆司…祥子の夫。老人ホームの経営をしている。

支倉百合華…隆司,祥子の娘。明人と渡米前に仲良くしていたことから楓の存在に違和感を感じている。明人には恋心を抱いている。

矢神牧雄…康治の弟。脳の研究を行なっていた。後天性サヴァン症候群のカルテを探している。

矢神佐代…矢神康之介の養子。銀座でクラブのママをしている。実は禎子の学生時代の同級生で,康治と禎子が知り合うきっかけを作った。

矢神勇磨…矢神康之介と佐代の間の子。ただし戸籍上は康之介の養子。伯朗は矢神家の一因ではないということで,高圧的な態度をとる。

伯朗の職場の人たち

蔭山元実…池田動物病院で働く女性。伯朗が楓に惹かれる前は蔭山元実に惹かれていた。

池田幸義…池田動物病院の院長。ただし実務は伯朗に譲っている。今後は院長という肩書きも譲りたいと考えており,養子になって池田動物病院を継いで欲しいと伝えている。

話の内容

当初,この話は資産家である矢神家の遺産相続問題がミステリーのキーに見える。実際,康之介の遺書の中でも,明人に遺産の半分を譲り,その他を他のメンバーで等分といった内容になっていた。

失踪は明人に遺産を相続して欲しくない親族の計画,もしくは明人自身が身の危険から姿を隠しているようにも考えられた。

この話のキーは遺産相続ではなかった。

実際には「後天性サヴァン症候群」というのがキーになる。
脳の研究をしていた矢神家一族と,後天性サヴァン症候群になった一清がウラムの螺旋を描いた絵「寛恕の綱」が絡み合って起こった事件であった。

「寛恕の綱」の価値を見出した数学者・憲三が,その絵を手に入れるべく妻の実家を捜索する。
それに気づいた禎子を成り行きで殺害してしまい,溺死のように装ったのだった。

しかし,絵を見つけることができないままであったが,康治の危篤によって再び絵を手に入れるチャンスだと思い明人の拉致・監禁を計画する。

しかし,明人の拉致・監禁を依頼するインターネット上の書き込みから,警察官・楓が明人の妻のフリをして潜入捜査をしていたのである。

ラストは全てが解決した後の池田動物病院,楓と伯朗の恋の予感で終わる。

感想

非常に面白く,一気に読み終えることができた。

遺産やカルテ,絵などいろんな資産と,それを取り巻く人間のいろんな思惑がありそうに見える中で,最も予想外の結果。

まさかの妻側の親族に犯人がいたのである。

読みやすく,後味も悪くない,東野圭吾ミステリーという感じである。
私の友人曰く,東野圭吾作品は読んでいて情景が思い描けるのが読みやすくていいとのこと。

恋のゴンドラも面白かったけど,こちらもおすすめ。
最近は恋がブームなのかしら笑

書評
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