【感想】太陽の坐る場所 辻村深月

書評

1年ぐらい前に辻村深月作品を友人にオススメされまして
そこからはまっています。
今日は太陽の坐る場所の感想を書きたいと思います。

あらすじとか。

本の裏の説明を引用します。

高校卒業から十年。元同級生たちの話題は,人気女優となったキョウコのこと。クラス会に欠席を続ける彼女を呼び出そうと,それぞれの思惑を胸に画策する男女たちだが,一人また一人と連絡を絶ってゆく。あの頃の出来事が原因なのか……?教室内の悪意や痛み,十年後の葛藤,挫折そして希望を鮮やかに描く。

太陽の坐る場所 辻村深月

ミステリーでカタカナで書かれる名前の人は大体怪しいですよね。笑
キョウコはそんな正攻法に当てはまる人です。

各章が出席番号○番となっていて,その出席番号の人が主人公になっています。
話としては各章毎に主人公が変わって,でもキョウコをいかにクラス会に呼び出すかというお話です。
各章の出席番号は以下の通りです。

・出席番号二十二番…半田聡美
・出席番号一番…里見紗江子
・出席番号二十七番…水上由希
・出席番号二番…島津謙太
・出席番号七番…高間響子

出席番号二十二番…半田聡美

地元を出て東京でOLをしている。
「常磐会」という劇団に所属しており,将来への不安を抱いている。
クラス会で一部のメンバーと話していた際に女優となったキョウコを誘うように言われ,実際に紗江子を通じて誘う。

出席番号一番…里見紗江子

紗江子は独身で映画関係の仕事についている。
クラス会メンバー真崎修と不倫している。
学生時代は貴恵と仲が良く,貴恵と修が付き合っていた。
貴恵とは仲がいいものの,可愛い貴恵とモテない人気のない自分を比較して劣等感も抱いている。

出席番号二十七番…水上由希

祖母に育てられ,保育士たちにいじめられた過去を持つ。
現在は東京で洋服ブランンドの企業で臨時職員として働く。
職場ではキョウコと同級生であることを自慢し,旅行に行ったりする仲と言っている。
また,クラス会では洋服ブランドのデザイナーと偽っている。
クラス会メンバー島津の携帯からキョウコの連絡先を勝手に覗き見し,電話をかける。
キョウコは電話を取ったものの「もうかけてこないで」と言う。

出席番号二番…島津謙太

学生時代,由希の傘をバット代わりに遊んでいて曲げてしまう。
それを響子がフォローしてくれ,その後謝る気はないのかと聞かれる。
現在は地方銀行の東京支店で勤務している。
地元への懐かしさを持ちつつ,今は東京で生活できることに満足している。
キョウコとは仕事でキョウコから連絡がある。
今は再開するのに早すぎると,クラス会への参加を断られる。

出席番号七番…高間響子

地方局のアナウンサーとして働いている。
ここで初めて,キョウコは響子ではないことが明らかになる。
当時のクラスには響子とキョウコ(今日子)の2人がいたのだ。
当初,クラスの中心人物だった響子だが,
同級生をいじめて倉庫に閉じ込めた事件から立場が逆転する。

全体の話としては,高校時代のいじめや人間関係と,大人になってからの立場,仕事などの違いから,徐々にすれ違っていく過程を描いている,社会人としてはありがちな題材。

この話を最後にキョウコという人物が2人いることで,
あっと思わせられることが辻本深月だな〜と思った。

感想とか。

辻村深月さんの作品の魅力は日常の中のミステリーを描くところかなって思ってます。
作品にもよりますが,必要以上に人が死なないし,必要以上にグロかったりもしません。
(たまに私は嫌な気持ちになりたいので,イヤミスも好きですが。笑)

この作品は,高校生から社会人になっていく中でのすれ違いがという日常が描かれています。
ただ,最後に大きなどんでん返しがあって,ミステリーぽくて,驚きはありました!

契約社員なのに友達にはデザイナーと見栄をはる由希
クラスメイトは芸能人になっているのに,不安定な劇団員であることに劣等感を抱く聡美
モテない自分と可愛い貴恵との比較から不倫に走ってしまう紗江子
学生時代は器用に立ち回れていたが,空気が読めないのではと不安になる島津
そして,自分が中心にいて輝いていたい響子
それぞれの立場や気持ちにはわかるものがあります。

高校生の時の友達とずっと変わらずに大人になっても仲良くいられることって
なかなか貴重な機会だと思います。

やはり,立場や環境が変わると,どうしてもすれ違いは起こっていくものかなと感じます。
学生時代を懐かしく思う島津の気持ちや,疎ましく思うキョウコの気持ち
それぞれの気持ちや立場が描かれていて,
最後は島津や由希らの方がクラス会には参加せず,キョウコが参加するというラストになります。

学生時代へのノスタルジックな気持ちと,大人になって比較したり不安になったりという気持ち
複雑な不安定な気持ちになる世代を描いた作品でした。

書評
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